キュレット・スケーラーのシャープニング方法2

今日は実際にキュレットやスケーラーを製造する
歯科器具職人がシャープニングストーンを使っての
シャープニング方法
を書いてみます。

 シャープニングきちんとするための条件 

シャープニングをきちんとするため必要な条件は3つあります。

1 シャープニングしたい歯科器具、もしくはシャープニングする
 道具(シャープニングストーンなど)を 
 手で握るだけではなく、
 何かにしっかり動かないように固定すること。

2 目でシャープニングしている面を見ながらシャープニングすること

3 シャープニングする道具(シャープニングストーンなど)を
 小さく1センチか2センチ程度動かしてシャープニングすること

です。

 シャープニングストーンを使ってのシャープニング方法 

先日も書きましたようにシャープニングストーンを使っての
シャープニングでは上記の3つの条件をクリアすることはできません。


しかし、2つはクリアできます。まず、下記の写真をご覧ください


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これはアーカンサスという砥石です。
私たち職人の間では、アルカンなどともよばれる砥石です。
アメリカ合衆国アーカンソー州のウォシトリバー山脈で産出される
天然の砥石ですね。


この写真のアーカンサスは、長さが約20センチあります。
できればこの位の長さのシャープニングストーンを用意できるといいと思います。


そして、ホームセンターなどで板を買ってきて、
歯科器具を下の写真のように固定します。

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ポイントは少し先端を浮かし、シャープニングする面と板とを平行にすること。
ただし矢印の部分は板にしっかりと固定します。


そして砥石をなるべく長く動かす。
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         ↓     ↓     ↓

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本当は大きく動かすのはよくないシャープニング方法です。
しかし、短い砥石でちょこちょこと何度も動かすくらいなら
10回分を1回で動かした方が、狙い通りのところに
いきますし、しかも湾曲する動きになりづらいです。


砥石はシャープニングする面と平行に
そして、次の項目で説明するのを参考にしていただき
側面の形状に添って動かします。
これならシャープニングしているところが目で見えますし、
歯科器具も固定ができます。

 三次元的な動きが必要 

  
側面をシャープニングするためには
少なからず、職人的技術が必要になります。


それが三次元の動きです。


例えば、スケーラーの刃の部分を一つ一つ見て行きます。
まず、図1のように横から見ると黒矢印のあたりから刃が付いていますが、
先端まではカーブがきついです。

e382b9e382b1e383bce383a9e383bce6a8aae3818be38289 図1

さらに内側(フェイス)からみますと
先端に向けて弧を描いて細くなっていっていきます。

e382b9e382b1e383bce383a9e383bce58685e581b4 図2

さらに、さらに図1の黄点線の方から先端を
正面から見ると図3のように三角形になっています。

e382b9e382b1e383bce383a9e383bce5898de3818be38289 図3


私たちはグラインダーという機械を使って研ぐのですが、
その際は直線的ではなく、図1と図2そして、図3のそれぞれの
三つの異なる曲線と直線に添って砥石の上で動かします。

これが三次元の動きで

10年かけて習得する技術です。


先ほど書きました上記の方法でも
側面をシャープニングする限り、少なからず三次元に動かす職人的に
技術が不可欠となります。


  歯科業界に必要なシャープニング方法 

包丁を研ぐ時でも、ハサミを研ぐ時でも、
製造するときは砥石が固定されています。


つまり、研がれる包丁やはさみが動くのです

また、料理人が毎日行う包丁を研ぐ作業でも
砥石が置かれ、その上を両手で握られた包丁が動きます。


産業展や町の金物屋なんかで包丁やハサミの研ぎ直しをしていますが
やはり紙ヤスリや砥石をグラインダーに取り付けて回し、
包丁やハサミを両手で握って動かします。

実は、というほどのことでもないのですが、
私が知る範囲では、刃物を購入した人が自身で再研磨する際に、
砥石を固定しないで刃物を研ぐ(シャープニングする)のは
歯科業界だけです。


それでも、歯科業界にも砥石を固定してシャープニングする
器械がいくつか販売されています。


しかし、現在あるシャープニングの器械はすべて
キュレットやスケーラーの側面をシャープニングします。
これは例えば、数十万するシャープニングの機械でも
数万円の簡易的なシャープニングの器械でも同じです。


問題は他のハサミや包丁に比べ、歯科器具は
側面が複雑な形状のため砥石を固定した方法でも
やはり職人的技術が必要になってしまうことですが、
どの道具、方法でも上記の三次元の動きを意識して
毎日、練習をすれば、できるようになる可能性はあります。


そうですね。3年から5年くらい一生懸命練習していただければ
キュレットならシャープニングできるようになると思います。


途方もないと思うかもしれませんが、
シャープニングとはそのくらいの時間が必要な技術なのです。


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>>シャープニングの極意

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カテゴリー[歯科医師さん向け, 歯科衛生士さん向け, シャープニングに関して]

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