奇跡の手

オリンピックの砲丸投げでは、
さまざまなメーカーの砲丸が並べられ
その中から選手が自由に砲丸を
選ぶことができます。

選手たちに選ばれ、
オリンピックで三大会連続
金、銀、銅を独占した砲丸があります。

 金、銀、銅を独占したことが奇跡なのではない 

その砲丸を製造している人が
埼玉県の10人ほど小さな工場にいます。

名前は辻谷工業の辻谷さん。


辻谷さんの砲丸づくりは、

NC旋盤に頼らない作り方。

つまり全自動ではなく、
素材を感じ、汎用の旋盤をつかい
手の感覚で削っていくのです。

重要なのはバランス。

辻谷さん以外の他社砲丸の多くは加工後に穴を開けて
鉛を流し込んでバランスを調整しているそうです。

しかし、辻谷さんは
この精度を旋盤だけで制作します。


取材や同業他社が見に来ると
その技術を惜しげもなく見せるそうです。


「どうせ見せてもまねできない」

辻谷さんの砲丸は重心の誤差が


プラスマイナス 0 

私どものような製造業の人間はよく分かります。

アトランタ・シドニー・アテネと
3大会連続でオリンピック金、銀、銅を独占。

これが奇跡ではなく

プラスマイナス 0 

これが奇跡です。


辻谷さんの砲丸を使うと記録が2メートルから3メートルも
伸びるそうです。
結果は当然、ついてくるのです。


しかし、辻谷さんは北京には
辻谷さんなりの考えで砲丸を出しませんでした。


その時、「あーこれで、北京では世界新記録は出ない」と
関係者が落胆したそうです。


辻谷さんにはアメリカなどから億をこえる単位で
うちにきてくれとオファーがあるそうですが、
「職人全員でつかんだ栄誉だから
自分一人いい思いをするわけにはいかない」
と全て断っています。


本当は、この辻谷さんと言う方が奇跡かもしれません。


私も辻谷さんのような
技術とハートを持つ
このような職人でありたいですね。



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カテゴリー[雑記]

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