本物のヘーベル(エレベーター)とは

錦部製作所は大正10年創業です。
製造する医療歯科器械は初代からこれまで、いつでもこだわりの製品でした。
先日もお話ししたように、術者にあまりメリットのないこだわりもありますが(笑)。

今日は、現在は製造していませんが、錦部製作所が代々、得意としてきたへーベル(エレベーター)。このへーベルがエレベータとも言われる所以でもある、ある部分のお話しをします。

 見た目も性能もこだわる 

先日、これまで製造していた先生や衛生士さんがハンドで使う医療歯科器械の在庫整理をしました。

本数が半端で出荷できなかったものやちょっとした傷などで製品にはならなかったものたちです。さすがに初代のものはでてきませんでしたが、私の産まれる前からの製品もありました。

一番古いのは45年くらい前のものです。

普通にきれいなので驚きましたが、これは下磨き、いわゆるバフかけをしっかりしているのと一本一本青粉バフと言うもので艶出しをしているので光沢が失われません。

先日、「錦部製作所がこだわりを持ち続ける理由」でお話しした例の術者にあまりメリットのない輝きを出す工程のことです。

でも、45年たってもこの輝きってやっぱりすごくないですか?

こちらはプローラーですね。

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そしてスケーラのたぐい。

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磨きの技術も今でも受け継がれていますので、超音波スケーラー用チップも20年前のものが現在も艶をおびています。

しかし、錦部製作所のこだわりは当然、艶だけではありません。

 へーベル(エレベーター)はこうなってないといけない 

錦部製作所の機能に対するこだわりは下記のエレベーターに顕著にでています。

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これを背中から見ると、

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背中の先端がただ丸いのではなく、私たち職人が言う所の”しのぎ”になっています。
しのぎとは分かりやすくいいますと「やや楕円」になっているのです。

こうしないで、ただ丸いだけだと抜歯の際、歯が浮いてきにくいのです。

これは機械ではできません。

昔は当然、機械もなかったのですが、昔はこれを鍛冶屋とヤスリとグラインダーでつくっていました。

ポイントはヤスリなんです。
ヤスリでこの形状に削りだします。

現在、へーベルは錦部製作所では製造していませんが、ヤスリの技術は受け継がれ、いろいろなところで使われます。

錦部製作所でも機械化が必要なところは機械化しています。
しかし、大事なのは

手でやらなければいけないところは手でやる。時間をかけてやらなければいけないところは、時間をかける。

あたり前のことですが、これをしないといい製品が出来ません。

錦部製作所の考えるいい製品とは、「術者につかいやすく、患者さんにやさしい製品」だと私たちは考えています。