プローラー。
歯科関係の方ならだれでもご存じの歯科器具です。
現在、私どもでは製造しておりませんが、
少し前までは、何種類ものプローラーを製造しておりました。
錦部製作所が現在でも世界一だと言える理由
プローラーの用途は言わずと知れた探シンですが、
このように作らなければいけないと言うルールがあります。
錦部製作所は大正10年に
初代・錦部兼太郎が創業しました。
以来、歯科器具や医療器具を製造してきました。
現在は、ほぼ超音波スケーラ―用チップの専門会社ですが、
この超音波チップの品質が世界一だ、と公言できるのは
これまで製造してきた歯科医具でも一つ一つの細部に
こだわってきたのが生きているからです。
プローラーを作る際のルール
プローラーを作る際のルールは、
手のひらをプローラーの先で撫でて、
手のひらの細かなスジの凹凸がプローラーを持った指に伝わることです。
ですので、本当はプローラーの先端はものすごく細くなければなりません。
それが、折れるなどのクレームを嫌ってどんどん太くなってしまいました。
現在ではプローラーの細と太がある。こういう状態です。
しかし、これでは本当はまずいですね。
細くても折れないプローラーを作らないと。
これが錦部製作所だと作れるんです。
驚くべき昭和40年代の実際にあったエピソード
二代目の現社長がまだ20代のころ、
ある商店にプローラーを飛び込みで売りに行きました。すると店主がなんと、火鉢の内側を二代目が持って行ったプローラーで
ガリガリ引っ掻き始めたそうです。普通なら、先端がまくれたり、曲がったりおかしくなってしまいますが、
二代目のプローラーはなんともなかった。ある特殊な方法で熱処理をしていたんですね。
だから、先端がしっかりと硬くなっていて、
あの火鉢のざらざらしているところをガリガリやって
も変形しなかった。
しかし、そのプローラーは売れませんでした。
店主はガリガリとやって変形すれば、「変形したぞ。ちょっとまけておけ」
と言えたのですが、
二代目のプローラーがなんともなかったので「まけろ」
と言えなかったのですね。
つまり値切る口実がなかったため、売れなかったのです。
結局、そのプローラーは他の店で売れたのですが、
この熱処理が現在の超音波スケーラー用チップの製造でも
生きています。
熱処理がちゃんとされていると
使う先生や衛生士さん、ひいては患者さんにいいことばかりです。
どんないいことがあるかは次回書きます。
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