その工程をなぜするのか、徹底させることが大切
「製品の輝き」があります。
これには二つの想いが込められています。
一つは、製品を大切にしてほしいという想い。
製品が美しければ汚いよりも大切にしてくれるだろうという考えです。
そして、もう一つは洗浄を少しでも楽にしてほしいとの想いです。
なぜ製品が輝くと洗浄が楽になるか分かりますか?
教えられる側の成長のためにも
目的をしっかり伝える
これは製品を輝かせるために必要なバフかけという工程に秘密があります。
バフかけとは紙やすりのようなものを
幅2センチく直径30センチくらいの丸いボールに
はり、それを高速で回します。
そこで製品を磨くと表面の細かいでこぼこがなくなり
ツルツルになります。
すると、その細かいでこぼこがあると取れにくい汚れが
さっと落ちるということになります。
ちなみにこの工程を錦部製作所では1本1本手仕事で
仕上げますが、これを超音波スケーラー用チップを製造している
メーカーでやっているのは世界で私どもだけです。
これは元々、ハンドのキュレットなどなどを製造していたから
できることなのですが、そういうメーカーが日本にはなく、
他の国のメーカーは元々、そういう工程をいれません。
さて、このバフかけの工程の目的は、
「細かいでこぼこをとること」です。
しかし、このでこぼこをとるための目安として
10回、製品を回しなさい、と教えたりします。
すると教えられた方が、本来の「細かいでこぼこをとること」という
目的をしっかり認識していないと、10回、回すことが目的になってしまいます。
経験から10回くらい回せばでこぼこがなくなるから
そう教えるのですが、極端に言えば5回ででこぼこが
とれれば5回、回せばいいのです。
この目的をしっかり伝えるのは難しいです。
はじめは言います。「細かいでこぼこをとることが目的だからね」とか。
でも、聞いている方はそのいっときに覚えなければいけないことが
いくつもありますので、実際に行う方法の方に
意識がいってしまうのです。
教えた方は最初に言ったから分かっているだろうとか
分かっていないようでも何度も口うるさく言うのはな、とか
考え徹底して言わなかったりします。
私もそうですが、
例えば先生や、先輩衛生士さんが後輩に教えるときなどには
多少繰り返しになっても目的を徹底させることが
教えられている側の成長にもつながると考えています。